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日本語を話す神様や今でいうガジェッターなど、昭和を代表するマンガ家の素顔が見えてくる「赤塚不二夫が語る64人のマンガ家たち」

「こち亀」はすぐに終わると思っていたらしい

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赤塚不二夫が語る64人のマンガ家たち

いつものオンラインサロン「ギガ盛りブログ飯」の参加特典で、「赤塚不二夫が語る64人のマンガ家たち」を献本して頂きました。

20年前に書かれた本の復刻版

赤塚不二夫といえば、「おそ松くん」や「天才バカボン」などで知られる人気漫画家。その赤塚不二夫が師と仰ぐ手塚治虫、もはや伝説となっているトキワ荘で一緒だった石ノ森章太郎、藤子・F・不二夫、松本零士ら昭和を代表するそうそうたるメンバー、高橋留美子、鳥山明、大友克洋、あだち充ら、親交が無かった人も含め、64人のマンガ家を思い出を交えながら語っている内容の本です。

もともとは1995年に学研から刊行された「バカボン線友録」から本文などを抜粋して文庫化したものとのこと。これも最近の「おそ松さん」効果でしょうか?

神様であり師匠でもある手塚治虫との思い出

64人のマンガ家それぞれについて、思い出や分析、評論をしているのですが、手塚治虫が「巨人の星」が大ヒットした際、アシスタントをつかまえては「これのどこがおもしろいのか?」と問い詰めていたという話は面白いと思いました。すでに自分のスタイルを確立していた第一人者ですが、自分で理解できないものがヒットしたときに、単に批判や拒絶をするだけでなく、理解する努力をしつつそれを自分の中に取り入れていく努力ができる人だからこそ、歴史に名を残すようになったのかなという感じです。

ところで手塚治虫が亡くなったあとに公開されたディズニー映画「ライオンキング」が「ジャングル大帝」の盗作ではないかと騒がれましたが、赤塚氏は署名に参加しなかったとのこと。「日本の漫画がディズニーに盗作されるなんて素晴らしいことではないか!」と表現していますが、確かに一理ある考え方です。

ちなみに、そんな手塚治虫は、ディズニー映画の「バンビ」を連日劇場に通って80回以上鑑賞し、マンガの「バンビ」を書いたそう。「ジャングル大帝」も「バンビ」のオマージュだったという話もありますし、今度はディズニーが「ジャングル大帝」のオマージュとして「ライオンキング」を作ったのだとしたら、手塚自身も満足だったのではないでしょうか。

あだち充のお兄さんがアシスタントだった、鳥山明の経歴は怪しいなど、当時の若手の話も

そんな漫画界の裏話的なものや、石ノ森章太郎は新しい物好き(いまでいうガジェッター?)で収入のほとんどをそういうものの購入に充てていた、いまでは松本零士の奥さんになった牧美也子の寝姿を松本零士らと覗いていた、あだち充のお兄さんが赤塚不二夫のアシスタントだった、鳥山明の経歴詐称疑惑など、当時のマンガを知らなくても思わずニヤリとしそうな話も多く掲載されています。

マンガ好きならもちろん、そうでない人でもマンガ業界の天才・奇才と呼ばれている(いた)人たちがどのような生活をしていたのかを知る意味でも、興味深い本だと思います。