ステレオタイプはすばらしい

ライフハックのつくりかたを読み終わりました。1時間ちょっと。

IDEA HACKS!TIME HACKS! の小山龍介さんの新刊です。

先の2冊のように実際にライフハックを紹介するのではなく、なぜライフハックが必要なのか?自分自身のライフハックをつくり出すにはどうすればいいか?ということを紹介しています。

まずは、これまでの社会と現在の社会を「天文学」と「気象学」という形で説明しています。

ビジネスもかつては「天文学」でした。国民総生産は一定割合で増え続け、所得倍増計画が達成される一方で、企業はそのマクロの動きに合わせるかたちで売り上げを予測できたわけです。
個人レベルでもこの「天文学」は及んでいました。一番の例は、終身雇用に基づく年功序列制度。30年後の給与額が予測可能というのがどういう心境だったのか、終身雇用の慣習が崩れてしまった今では、なかなか想像しづらいところです。しかし、衝突する彗星を予測してあらかじめ避けるように、定年後の収入さえ計算できたのです。

(中略)

天文学はずっと未来まで予測できます。ところが、気象学ではそうはいきません。
最新の科学技術をもってしても、天気予報は困難を極めます。長期予報はもちろん、明日の天気予報ですら100%正確ではありません。一か月後の天気なんて、占いと大差がない、といっても大げさではないわけです。
そして、これは天気だけの話ではありません。実はビジネスの世界でも起こっているのです。

しかし、そんな予測困難な気象学でも明日の天気をかなり正確に予測できる人たちもいます。

「なぜ漁師は天気の変化を正確に予測できるのだろう?」
なぜ予想できるのか?そこには実は「夕暮れが美しければ、明日は晴れ」という長年の経験から導き出されたコツ、つまりライフハックがあるのです。ビジネスにおいても同様で、予測不可能な状況のなかでも、「こうすればスッキリうまくいく」というコツがある。予測不可能な世界では、厳密なロジックよりも、経験のなかで洗練されたコツこそが効果を発揮するのです。

これまでは、決まったマニュアルがあり、その通りに実行していれば問題がありませんでした。しかし、現在ではそんな硬直したマニュアルでは追いつかないほど状況は激しく変化しています。これに対応するためには厳密なロジック(硬直したマニュアル)ではなく、柔らかなロジックが必要になってきます。

例えば「月曜日にはできるだけ外出しない」というライフハックには、厳密なロジックは存在しません。しかし、経験則的には、確かにそうすると1週間がスムーズにいく。ライフハックを支えているのは、偶然が積み重なって生まれる必然を取り扱う「柔らかなロジック」なのです。

しかし、ライフハックが必要とはいえ、与えられたハックをそのまま使うのでは硬直したマニュアルと変わりません。

つまり、自分の仕事の内容に合わせ、ライフハックを改変し、また新しくつくり出すことが必要となってくるのです。ライフハックが、仕事で起こる困ったことに他する処方箋だとすれば、本来は症状に合わせて処方が異なるはず。100人いれば100通りのハックがあるはずなんです。

そんなわけで、実際に自分流のライフハックをつくり出す上での下記の3つのルールを軸に説明が続きます。
-フィードバックしてパターン認識する
-情報受容体を増やす
-アウトプットする空間を作る

実際の内容については是非本書を読んで欲しいのですが、なかでも特に印象深かったのは「フィードバックしてパターン認識する」で説明されている偏見について。

「偏見」というのは実は、ステレオタイプが「少なすぎる」ために起こることなんですね。別のいい方をすれば、「偏見」をなくすには、ステレオタイプを捨て去るのではなく、逆にステレオタイプをどんどん増やしていくことが必要になります。

ここで言っているステレオタイプとは「フランス人はすぐ感情的になる」「アメリカ人は変なところで融通がきかない」といったことです。要するに物事を1つの見方で決めつけるのではなく、「こうすれば、こういうこともあるな」というような複数の可能性の中から豊かな判断を下せるようにならなければいけないということですね。

本書の内容とは直接関係ないかもしれませんが、ページ下部に書かれている「はみだしハック!」が意外と面白かったです。1~2行の簡単な内容なのですが、この部分だけで見るのでも役に立ちそうな気がしました。

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