「格安」だけではない MVNO第2章が目指すものとは?

2016.5.25 (更新日:2016.06.16)
MVNO

5月25日~27日の日程で東京ビッグサイトで開催されているワイヤレスジャパン 2016の基調講演を聞いてきました。MVNO絡みの話で、IIJ 島上CTOの「MVNO 第2章」とビッグローブ 佐藤常務の「MVNO/M2M/IoT市場における今後の動向と新たな事業機会や価値創出の可能性」という2つの講演だったのですが、内容が被るところも多いので、以下は2つの話をまとめています。

MVNOの今とこれから

MVNOの契約数は順調に増加

MVNOの契約数について、総務省が2014年10月に公表した「モバイル創出プラン」では2016年末までに1,500万契約という目標が掲げられていました。

総務省の発表によると昨年12月末でのMVNO契約数は1,155万契約となっており、1,500万という目標はクリアできそうという状況のようです。

「MVNO」と「格安SIM」、「格安スマホ」の認知率

「MVNO」や「格安SIM」という単語自体はだいぶ耳慣れたものになっていますが、その認知率には実は男女差があるそうです。

MMD研究所の調査によると、「MVNO」に関しては男性の認知率が高く女性が低め。これが「格安SIM」になると女性の認知率が男性と同じ程度になり、「格安スマホ」では男女とも8割程度の認知率となるとのこと。

男女とも認知率の高い「格安スマホ」ですが、実際の購入意向者となると5%程度になってしまいます。これは、「格安」という言葉からくる価格競争だけが目立ってしまい、悪いイメージがあるのではないかということでした。

格安スマホの購入意欲

MVNOサービスの多様化と利便性の向上

この「格安」という言葉のイメージを払拭するためにもMVNOサービスの多様化、利便性の向上は必須です。利便性という点では、最近ではMNPでも即日開通できるようになってきましたが、BIGLOBEでは2016年後半にアプリからの登録だけで開通処理ができたり、自動販売機でオプションも含めて契約出来たりすることも考えているとのことです。

自動販売機でMVNO契約

自販機で契約まで完了すると便利になりそうですね。

MVNO 第2章

MVNOのサービスの多様化という点で避けては通れないのがMNO、つまり大元の回線を管理しているキャリア(ほぼdocomoですが)との関係です。現在はdocomoのSIMを借りてMVNO契約者に提供しているような状況ですが、今後は独自にSIMカードを調達し、オリジナルのSIMが使えるようにしたい、していく必要があるということです。

Light MVNOからFull MVNOへ

MVNOの先進国であるEU圏では、MVNOには大きくLight MVNOとFull MVNOという2つがあるそうです。コアネットワークまで入れるかどうかが大きな違いのようですが、この考え方でいくと、現在の日本のMVNOはすべてLight MVNOに分類されるとのこと。

Light MVNOとFull MVNO

これがFull MVNOになることでMVNO側でやれることが多くなり、サービスの多様化につながるとのこと。その中でもっとも期待されているのが加入者管理機能(HLR/HSS(Home Location Register/Home Subscriber Server)機能)の開放です。

加入者管理機能の開放によってできること

HLR/HSS機能の開放については、先に挙げた総務省のモバイル創出プランにも明記されているのですが、これが実現すると何が出来るかというと、MVNO側で独自にSIMを発行することが出来るようになります。そうすると、SIMカードという形態だけでなく、IoT機器に組み込むようなものも作ることが出来、サービスの多様化にもつながるということのようです。

また、例えば海外ローミングを行う場合、現在のMVNOのSIMは海外ではdocomoのSIM(あるいはauのSIM)としか認識されません。このため、独自にローミングプランを作ることはできないのですが、独自のSIMを発行できるようになると、これも可能になります。

音声データやSMSのデータなども直接取り扱えるようになるため、例えば現在はアプリを介してしか提供されていない通話定額サービスのようなものもMNOと同様に提供可能になるそうです。

ほかにも、現在はMNOでしか行えないSIM認証も行えるようになるので、NGH(Next Generation Hotspot)のような次世代の公衆WiFiサービスの利用にも繋がるとのこと。

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HLR/HSS機能を使うには多額の設備投資が必要

このようにMVNOにとってやれることが大幅に増えるHLR/HSS機能の開放ですが、手放しでいいことばかりではなく、これを利用するためにはMVNO側にも多額の設備投資が必要になってきます。このため、実際に利用できるのはMVNOの一部になりそうです。おそらくは現在MVNEをおこなっているIIJやOCNなどのごく限られた事業者だけになるのでしょう(そこが卸しているMVNOは使えるのでしょうけど)。

年末に向けて何かしら面白くなるのかも

以上、私の頭が付いていく限りで聞いた内容を要約してみましたが、正直なところ「HLR/HSS機能の開放」とかになるとまったくついてゆけません。なんとなく自由度があがる、SIM認証が出来るようになるという程度の認識です。

なんにしろ、モバイル創生プランが定めた1つの区切りである2016年末に向けて、MVNO周りでは何かしら面白そうな動きがありそうですね。

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